娘たちの華やかな笑い声が聞こえていた座敷も、
夜が更けてくるとひっそりとした静けさに変わる雛の間…。
西洋のおもちゃたちは、夜になると箱を飛び出して
賑やかに動き回っているようなイメージがありますが、
日本人形はじっとそこに座ったまま、
静かに何かを思っているように見えます。
我が家の内裏雛が飾られている空間も、
どこか空気がピンと張っているような
清澄な雰囲気に包まれています。
それは雛人形のもとが、
厄災を身代りに引き受けてくれる、
形代信仰から始まっているからなのかもしれません。
それはともかく、雛人形の数だけ、
多くの親の願いがあったことは間違いありません。
話は変わりますが15年程前に公開された
「ペイ・フォワード」という映画をご存知でしょうか?
自分が受けた善意を、その相手ではなく、
別の誰かに渡すという内容だったと記憶しています。
「前へ贈る」「次に渡す」というシンプルな考え方が好きです。
雛人形を贈られた娘がやがて母となり、
またその娘や孫に雛人形を贈る…。
熟成干し芋も、
次の世代に優しさの連鎖で渡されていってほしいと願いを込めて、
今年もお雛様にお供えします。
干し芋マイスター 福井保久
干し芋マイスター 福井 保久
サツマイモの中に潜む美味さをどこまで引き出せるか、色、艶、食感、そして味を極限まで追求。
干し芋ひとつひとつをマイスターの誇りにかけて
最高のものだけを世に送り出している。