達磨庵のこだわり 日本初 有機干し芋への挑戦

畑土壌

畑の状態というのはどんな芋が収穫できるかの原点です。
だからここには一切の妥協が出来ません。
それがどんなに大変でも・・・

私達が作るまで、誰も有機干し芋を作りませんでした。
理由は簡単で、あまりにも手間が掛かりすぎるからです。

雑草が出たら除草剤を撒く。病気が出たら消毒する。虫が出たら殺虫剤。
育ちが悪ければ化学肥料を追肥する。
こうして農業は予期できない自然を相手に出たところの対応でリスクを取り除いているのです。

ところが、有機農業はこれができません。
そのために我々が克服することは・・・・

農薬も化学肥料も使わない、連作もしない

まず第一に畑・土壌を豊かにすることです。
これは一朝一夕ではできません。
だから今やっている仕事は未来のためのものです。
畑・土壌を整えるためには時間を掛けなければなりません。 だから達磨庵では、管理している畑のうち1/3の面積でしか作付けをしません。
残りの2/3は、翌年や翌々年のために寝かせています。

緑肥作物を植えて土壌を改善したり、自家製たい肥を作り土に馴染ませて肥沃にしたり、畑によっては全く休ませたりすることもあります。土地は休ませないでいると、農薬を使わないと芋が育たない環境になっていき、これが悪循環を生むのです。

逞しい苗作り

種芋にとってまだまだ厳しい気候の早春に苗作りが始まります。
寒さにあてないように大事にして芽を出させるのですが、芽が伸びていくに連れて苗場を厳しい環境にしていきます。

畑に出れば雑草との競争、虫達もひしめいています。長雨が続けば病気になりやすい状況になります。
それらを瞬時に救ってくれる農薬を使わない以上は、苗にたくましい体力を持たせ、植えた後は自らで凌いでくれることを願うしかありません。

そして苗は、つるが伸びるのが早いか、雑草でおおわれるのが早いかの競争にさらされます。その間に私達ができることは草取りです。
ひたすら草取りをしますが、全部の草を取り除くことはしません。
畑から自然に出てくる草は、その畑に必要だから生えてきます。
苗が育つ場所だけを草取りします。

達磨庵の芋作り

健康な畑・土壌とは、芋だけが育つ状態ではありません。多種類の草が生え、
多種類の虫や小動物が棲んでいて、それを狙う鳥も集まります。
だから多種多様な生態系の中で、一緒に芋も育てさせてもらう。

また、その畑で限界までの量を収穫しようとするから、病害虫を排除しなければ
ならなくなってしまいます。
そうではなくて、その畑から自然に恵まれる数の芋を収穫させてもらう。
そうしていると、不思議と干し芋としてこれ以上ない上出来の芋が出来上がるのです。

これが達磨庵の芋作りです。

蒸かす

“蒸かした芋を乾燥させる”だけですから、干し芋は農産物加工品の中では
その加工工程はごくごく単純なものです。

だからこそ“蒸し”はとても重要です。

最高の干し芋作りに欠かせない蒸かしのポイントは2つ
「糖化度の見極め」と「早く蒸け上がらないように蒸かす」です。

芋が糖化していく仕組みは、寒さにあてることです。寒さから身を守るために
芋は自身のデンプンを糖に変えていくからです。

完熟は腐る一歩手前です

果物が熟していくと甘味が増すのと同じように、芋を寒さにあてながら完熟させることで最高の甘味が引き出せるのですが、 完熟は腐る一歩手前です。
そして一方で芋は寒さに弱く、氷点下では一晩で冷え腐りになります。

その絶妙なタイミングで蒸かしに入らなくてはなりません。

秋収穫した芋を冬に加工するまで保管することと、寒さにあて糖化させることは相反することですが、これは最高の干し芋作りに欠かせません。

最高の干し芋に仕上がるように
見極めていく名人級の技

干し芋農家にとって、寒くなるまでじっと待っていないと、 糖度の高い美味しい干し芋にならない、
でも糖化するのをずっと待っていると、
寒さで芋が傷んでしまう可能性がどんどん高まる。
これは我慢大会の様なものです。

更にその年の芋の出来によって、芋全体の糖化傾向が違いますし、また芋の品種によっても糖化のしやすさに違いがあります。それを踏まえて、それぞれの芋が最高の干し芋に仕上がるように見極めていくのが名人級の技なのです。

“蒸し”とは

こうして、糖化した甘さをきちんと引き出すために重要になってくるのが“蒸し”です。

昔と違って今はボイラーの性能が良いので、いくらでも強い蒸気を得ることができるので、
早い時間で芋を蒸かすことが難なくできますが、できるだけ早く蒸け上がらないように蒸気を使うのが肝心です。

芋の大きさや品種により蒸かす時間と蒸気の強さを微妙に変えます。
これらの細かな配慮があって初めて糖化した芋の甘みを余すことなく引き出せます。

天日干し

非効率ですが、今時天日干しにこだわっています。

私達の想像以上に芋には美味しさが秘められています。

だから達磨庵がやっていることは、芋の力を信じてそれを引き出すことに他なりません。
そのためにできることは手抜きせずにやり切ります。

天日干しは時間がかかります

天日干しは時間がかかりますが、少しずつ水分が抜けることで、糖化した芋の甘さだけが残って凝縮されていきます。
日中に日の光を受けて表面が乾き、 夜は芋の中心の水分が表面と均等になり、次の日また表面が乾燥する、その繰り返しで徐々に仕上がります。

今では「冷風乾燥」や「遠赤乾燥」で仕上げることもできますが、達磨庵ではあくまで天日干しで仕上げています。最高の干し芋を作る上で欠かせないからです。

「冷風乾燥」や「遠赤乾燥」は農家にとっての手間を考えると良い事だらけです。一番のメリットは、多くのリスクが排除できることです。

芋の干し始めの頃、思いがけなく暖かい日や雨の日があると、カビてしまったり、腐ってしまうリスクがあります。

また、鳥は干し芋が大好きです。干し芋農家にとって鳥対策は深刻な問題です。
屋内での「冷風乾燥」や「遠赤乾燥」はその心配もありません。
それだけではありません。

天日干しはかなりの重労働です

ふつう天日干しの場合は一日の加工量の最低でも7日分の干し場を準備する必要があります。
広い場所を確保して整地することをはじめ、雨よけのビニールハウスの設置、簾(すだれ)を乗せる棚作り、防鳥ネットを張り巡らす等、干し芋作りの前後でこれらの作業はかなり手間がかかり、実際力のいる重労働です。
それにひきかえ、屋内での機械乾燥なら2日で済みますし、ビニールハウスもネット張りも要りません。
天日干しをやめていく干し芋農家が増えていくのは高齢化と相まって、仕方ないことかもしれません。

天日干しへのこだわり

では何故達磨庵は天日干しにこだわるのか?

それは、苦労が報われる美味しさを得られるからです。

達磨庵の干し芋作りは選別の繰り返しです。
収穫の時には基準に合う形と大きさの芋だけを選び、蒸かす手前の芋を洗う段階で再度大きさと形を確認。そして蒸かした後の皮むきで今度は実際に一つ一つの芋の質を確かめて、よくなければそれを切り捨てます。

こうして、一年間かけて美味しさを追求し、仕上げまでたどり着いたのだから、どんなに手間が掛かっても、たとえリスクがあっても、天日干しで仕上げること以外の選択肢はありません。

最高の干し芋は、芋が持っている美味しさが限りなく引き出されている、素朴ですが滋味にあふれた自然の賜物です。

この味に到達させるためには天日干しは欠かせません。

熟成

熟成干し芋はいわば、ヴィンテージワインのようなもの。

自然はこちらの都合なんてお構いなし。
雨が欲しくても日照りが続いたり、芋を干している時に容赦なく大荒れの天気にする時もあります。
季節はずれの暑さや寒さは農家泣かせですが、辛抱強くそれに応じた農作業を連綿と続けます。

これこそが達磨庵の熟成干し芋です

すると、数年に一度それに対してのご褒美のように、干し芋にとって最高の環境をお膳立てしてくれる時があります。

亜熱帯地方が原産のサツマイモにとって、ほしいも産地は寒さが厳しい気候です。ほぼ北限地です。

農産物は総じて北限地に近いほど高品質になりますが、不作になる確率も高まります。北限地ではほんの少し平年よりも気温が低いだけでも致命傷になってしまいます。

ワインに当たり年があるように、干し芋にも当たり年があります。

芋にとって厳しい年ほど高品質の当たり年になります。

常に手を抜かないでいると、自然が味方してくれた年には思いがけないほど秀逸な干し芋を手にすることができます。

これこそが達磨庵の熟成干し芋です。

栽培している時はもちろん、収穫した時点でも、その年が当たり年かはわかりません。糖化させた後に加工して初めてその姿を現します。乾いていくほど艶やかになる干し芋を見ると惚れ惚れしてしまいます。

凝縮した甘さと風味

しかしまだ完成ではありません。ここからもう一仕事です。
お客様から「やわらかい干し芋ありますか」と聞かれることがよくあります。干し芋は昔ほど乾かさなくなりました。昔は保存食としての役割が主でしたし、冷蔵庫などの保管環境も整っていなかったので、今よりも乾燥させることでその役目を担っていたからです。

今では干し芋も立派な嗜好品として求められるようになりました。

嗜好品としての要望は端的に言えば「甘く、やわらかく」です。昔ほどは乾燥させませんが、“やわらかく”が目的になると往々として、なま乾きに近くなり勝ちです。それでは本末転倒で干し芋本来の味わいは得られません。

乾燥させることで芋が持つ凝縮した甘さと風味、そして芋本来の旨さが引き出されるのです。

長期熟成させた贅沢な逸品

それらを損なわずに“やわらかさ”を実現する方法が“長期熟成”です。

干し芋はある一定の条件で長期熟成させることで、凝縮された美味しさはそのままでしっとりやわらかくなってゆきます。

最近、熟成スイーツという言葉が使われるようになりました。スイーツも熟成して食されることが不思議ではない世の中になってきているのですね。

ヴィンテージワインが当たり年に収穫したブドウで作られ、熟成によりその美味しさが完璧に味わえるようになるのと同じように、達磨庵の熟成干し芋は、気まぐれな自然がたまたま与えてくれたチャンスを逃さず作られた、極上の干し芋の味を完全に引き出すために、さらに長期熟成させた贅沢な逸品なのです。