お釈迦様の弟子の周梨槃特(しゅりはんどく)という人物は、
自分の名前すら覚えていられないほど物忘れがひどかったので、
背中に「槃特」と書いた名札を背負い、
毎日真面目に修行し誰よりも早く悟りを開きます。
亡くなった後お墓から見知らぬ草が生えてきて、
いつしか「茗荷(名を荷う)」と呼ばれるようになりました。
それが「茗荷を食べると物忘れがひどくなる」という逸話となりますが、
茗荷に物忘れを促進するような成分は含まれてはいません。
それどころか逆に、血流がよくなって脳が活性化されるのだとか。
子規はそんな逸話を逆手にとって、
「(通常子供は親に似るけれど)茗荷の子に限っては親に似ず、賢い」
とユーモアをきかせています。
爽やかな香りとちょっぴり癖のある味わいは、
薬味にも主菜にもなり夏の暑い時季に食欲を増進させます。
毎日これでもかと暑い日ざしの中、
有機サツマイモ畑の草取りも虫取りも今が正念場です。
心も体もバテ気味ですが、
思い切り汗をかいた後のビールの美味しさや、
冷たいそうめんや蕎麦をすする時の爽快感は、
今だからこそ味わえるご馳走です。
一番の暑さ対策はそんな今を楽しむことかもしれません。
茗荷を栽培しているのは何と日本だけだとか、
まさに日本に生まれてよかったと言いたいです。
干し芋マイスター 福井保久
干し芋マイスター 福井 保久
サツマイモの中に潜む美味さをどこまで引き出せるか、色、艶、食感、そして味を極限まで追求。
干し芋ひとつひとつをマイスターの誇りにかけて
最高のものだけを世に送り出している。