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捨て鍬の 次第に濡れて 春の雨(山口青邨)

捨て鍬の 次第に濡れて 春の雨(山口青邨)

長いこと楽しませてくれた桜の花も散り、
初夏を思わせるような陽気が感じられる頃となりました。
春は以外と雨がよく降りますが、
今春はそれほど雨が降っていない印象があります。
桜が長もちしたのも、雨の少なさと気温の低さからでしょうか。

昨日、自然農の田んぼで、苗床作りと籾まきをしてきました。
自然農の田んぼに生える草は、毎年毎年変わっていくのですが、
今年はいかにもマメ科らしいピンク色の小さな花をつけた、
カラスノエンドウがたくさん咲いていて、
静岡の山間地にある棚田でもいよいよ春を謳歌しているようです。

田んぼの脇では二人の仲間が、
収穫した稲を天日干しするための竹の竿を仕舞う物置を作っていました。
昨年の台風で屋根が飛んでしまったためです。
まるで本職のように、手際よく木を組み合わせ、
以前より立派な物置小屋が完成しました。

昔の人、といっても私の両親の世代くらいまでは、
手近なもので何でも作り、修理も自分でしました。
今では“修理して使う“なんてあまりなくなってしまいましたが、
ふとテレビで見た老夫婦のことを思い出しました。
そのご夫婦は50年以上自転車屋さんを営んでこられましたが、
今ではそれほど自転車も売れず、
草刈機など、農機具の修理が主な仕事でした。

手先の器用なご主人は、藁でほうきを作ったり、
竹で孫の手や耳かきを作り、みなさんに差し上げているのだそう。
そのこと自体は一円の収入にもなりませんが、
ご主人が言うのには、「天国に貯金している」とのこと。
ご夫婦が、その貯金を使うのはまだしばらく先ですが、
天国に行ったらきっとその貯金で、心豊かな生活が送れることでしょう。

“天国への貯金”という言葉は、これからも忘れずにいたいと感じた夜でした。






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干し芋ひとつひとつをマイスターの誇りにかけて
最高のものだけを世に送り出している。