暦の上では、立春から数えて135日目を「入梅」といい、
今年は6月11日がこの日に当たります。
そうはいっても、南北に長い日本列島ですから、
毎年気象庁が発表する地域ごとの『梅雨入り』『梅雨明け』の宣言が気にかかります。
降り続く雨のため、日常生活にも様々な影響を与えますが、
盛夏期に必要な農業用の水を蓄える重要な時期でもあります。

江戸時代、皆が気持ちよく暮らすための知恵として自然と生まれた江戸しぐさ。
その中に「傘かしげ」という言葉があります。
道ですれ違う時、傘と傘がぶつかったり、しずくがかからないよう、
相手と反対側にスッと傘を傾けるしぐさです。
日本人は昔から、そんな優しさと思いやりを持って暮らしてきました。

干し芋も江戸時代に誕生し、
今日までほとんど変わらない製法で受け継がれてきた日本の食文化です。
どちらも大切に親から子へと伝えていきたいものです。
雨の降る日は、外に出かけないでゆっくりと本でも読みながら、
薫り高いお茶とともに熟成干し芋をお召し上がりください。





干し芋マイスター 福井保久