古来より、中国では奇数を陽の数とし、
「重陽」とは、奇数が重なることを意味します。
陽が極まった、9が重なる9月9日は大変めでたい日とされ、
その日を「重陽の節句」としました。
そして、小高い山に登り、
長生きの効果があるとされる菊の花を浸した菊酒を飲んで、
不老長寿を願う風習がありました。
最近の言葉でいえば「アンチエイジング」となるのでしょう。
いつの時代でも人々の願いは同じですね。
山口青邨の句に出てくる「陶淵明」は、
中国、南朝宋の時代に活躍した文学者です。
役人勤めを辞して郷里の田園で隠遁生活を送ります。
自ら農作業に従事し、酒と菊花を愛し、
晴耕雨読の暮らしを詩にうたい、
後に田園詩人とも呼ばれました。
青邨は、秋に薫る菊の花を見て、
そんな陶淵明の暮らしを思い浮かべたのでしょう。
私たちは、なかなか晴耕雨読とはいきませんが、
せめて重陽の節句には、
長い歳月をかけて作られた、熟成干し芋でも食べながら、
ゆったり、のんびりした気分で、
菊酒をちびちび飲んでみる なんていうのはいかがですか?
干し芋マイスター 福井保久
干し芋マイスター 福井 保久
サツマイモの中に潜む美味さをどこまで引き出せるか、色、艶、食感、そして味を極限まで追求。
干し芋ひとつひとつをマイスターの誇りにかけて
最高のものだけを世に送り出している。